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読書なんてどうでもいいと思っている人間とは縁を切れ

子供の読書を卒業し、大人の読書をはじめよう。

■読書なんてどうでもいいと思っている人間は論外

 読書なんてどうでもいいと思っている人間は論外だ。

 縁を切ったほうがいい。

 物理的に縁を切ることが難しくても、精神的に縁を切る。

 あまり相手にしないということだ。

 読書なんてどうでもいいと思っている人間は、世界なんてどうでもいい、人間なんてどうでもいいと思っている人間だ。もっともかかわってはいけない人間である。

 結婚相手だって、本を読まない人間はダメ。たとえ、目と鼻と口がついていたとしても、それは生物としてヒトであるだけで、人間とは呼べない。なぜなら読書は人間であることの前提条件だからだ。

 大事なことは、真っ当な世界につらなる意志をもつことだ。

 子供に見えている世界と大人に見えている世界は違う。

 子供の脳に厖大な知識を詰め込んでも、価値判断ができるようにはならない。

 当たり前だ。

 世界とはそれを受容する側が生み出すものであるからだ。

 だから、子供の読書を卒業し、大人の読書をはじめることで、世界自体が変化する。

 実際に見えてくるものが違う。

 読むべき本を読めば、世界は確実に変わる。

 近代とはなにもしないでも人間が汚れていく時代だ。コタツに入って、みかんを食べながらワイドショーを見ているだけで、人間は「悪」とつながってしまう。

 正気を維持し、人間として生きるのにも努力が必要です。

 単にヒトとして生き延びることが目的なら、餌としての情報を摂取するだけで十分かもしれない。でもそれでは、家畜と同じ。家畜の平和を否定するわけではない。現状に満足しきっている人に何を言っても仕方がない。

 しかし、「やはり今の世の中おかしいのではないか」「いまさら手遅れかもしれないけど、人生なんとかしたい」と思っている人は多いはずだ。

 家畜の世界とは別に、真っ当な人間の世界が確固として存在することを示していきたい。

<『遅読術』より再構成>

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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